また、夏から秋にかけては毛虫が発生して大変だった。
ところがここ数年は樹の勢いが弱くなってしまい、枯枝が目立つようになっていた。
幹の中が腐って空洞になってしまっていたようだ。
ここ二年はとうとう実がひとつもならなくなってしまった。
ところが今年はふたつだけではあるが実をつけてくれたのだった。
倒れた幹が家に寄りかかっていたので折れたところから上を切った。
電動のチェーンソーで切断したのだが、あっけないほど簡単に作業は終了してしまった。
今まで茂っていた枝葉がなくなってしまうと、
長年にわたり見つづけてきたものだけにとても寂しく感じる。
枝が一本だけ残ったが、樹の状態から考えると来年の春に芽吹くことは難しいかもしれない。
今年は地震やその後の原発事故などわるいことばかり起きてしまっている。
特に原発事故での汚染では日本の山河にとりかえしのつかないダメージを与えてしまったかもしれない。
放射線による影響がどれ程になるのかまだわからないが、
先祖から受け継いだ風土にあのような形で傷をつけてしまったのかと思うとなんともやりきれない。
こういった地震や津波、また台風で被災された方、
原発事故で避難をされている方が大勢いらっしゃるところで木一本折れたくらいでどうこう思うことも何ではあるが、
個人的には何かを暗示しているようで気分までもが折れる出来事ではあった。
本当によくないことばかりだが、とどめの一撃が来ないことを願うばかりである。
(S)