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小川:お時間をいただきありがとうございます。1年半ぶりの「K‘s to Face」は、弊社のPB品『アズーリ(N)』や『Kライト書籍』で多大なるご協力を頂いている、北越コーポレーションさんの本社にお邪魔しています。日頃の業務に尽力していただいている北越紙販売さんもご同席頂きました。
小川:本日は最近リニューアルした機能紙『ポエム』についてお伺いします。まず、リニューアルする前の『ポエム』についてですが、結構前からあった気がします。こちらの銘柄の発売はいつでしょうか。
谷澤:『ポエム』の発売時期は平成13年4月(2001年4月)です。今年で25年目になる息の長い商品です。
小川:発売から四半世紀になるのですね。どちらの工場で生産を。
長田:長岡工場のMSM(マルチスーパーマシン)で生産しています。原紙は紀州工場で、後ほどお話しする新規ラインナップのカードは原紙も長岡工場です。
小川:MSM、紙好きな私としてはどんなマシンか非常に気になるところです。脱線してはいけないとわかっているのですが・・・MSMの特徴をお教えいただけますか。
長田:MSMとは、Multi Super Machineの略で、抄紙機ではなく含侵設備を持つオフラインの塗工機です。一般紙にはない機能や風合いを持った紙を生産することができます。
小川:塗工だけでなく、含侵も・・・!!
長田:はい。紙以外にもフィルムや不織布にも塗工可能です。含侵も出来て、紙以外にも塗工できる、なかなかに珍しいマシンだと思います。
小川:なるほど。まさに「マルチ」な興味深いマシンですね。お教えいただきありがとうございます。それでは本題に戻って『ポエム』について深掘りしていきます。まずは『ポエム』とはどういった紙なのか、ザックリとお教えください。
谷澤:『ポエム』は耐水耐油性と印刷適性を兼ね備えている紙です。耐水性と耐油性を持つ薬品を紙の表面に塗布し、一般紙には難しい耐久性を求められる用途に広く使えるよう開発しました。
小川:いわゆる「機能紙(きのうし)」ですね。普通の印刷用紙とはまた違った大変さがありそうです。製品開発でご苦労なさったことなどございましたか。
谷澤:耐水・耐油性能については勿論なのですが、印刷適性との両立が難しかったですね。今と違い、開発当初のオフセット印刷技術では、バリア性の高い紙の印刷が難しく、印刷ムラが多数発生してしまいました。「いかに水を弾かせないで、耐水・耐油性を得られるか」です。
小川:それは・・・難しいですね。
谷澤:ええ。『ポエム』の開発ではそれを実現する塗料の開発が一番苦労しました。また新規にラインナップした『ポエムカード』は従来の印刷用途以外にも「自立するPOP」や紙器等への用途を想定していたため、印刷、抜き加工、製函適性まで実際にテストして問題がないか試しました。
小川:工程すべてをテストなさったんですね。
谷澤:はい。当初、印刷はOKでしたが、その後の抜き工程でNGが出てしまいまして。結果として原紙と塗剤の相性が良くないと判断し、1から原紙選定をやり直しました。これに時間がかかり、途中コロナ禍もあって、『ポエムカード』の開発には4年ほどかかってしまいました。
小川:「ポエムカード」誕生の裏には想像以上のご苦労があったのですね。ところで、そもそもの疑問なのですが・・・『ポエム』という名称の由来は何でしょうか。
谷澤:それはですね、ポエムの英字表記「POEM」の頭文字から来ています。「Paper Of Environmental Mind」の頭文字をつなげて「POEM」。「環境に配慮した紙」という意味で名づけられました。
小川:そうだったんですか! リニューアル前の「S」について伺っても?
谷澤:Superの「S」です。ポエムカード以外の75g片面~185g両面までは長岡のマシンで塗工後、平滑UPのためにスーパーキャレンダーを掛けています。今回のリニューアルでFSC適合になりましたが、同じくスーパーを掛けており品質は従来と変わりません。実は社内で品名登録の際に「Fの後にSを付けるか? 前につけるか?」でいろいろと議論がありまして。流通やユーザーの皆様も混乱してしまうのではと「S」を取って「F」だけ付ける表記に落ち着きました。また、新製品のポエムカードはスーパーキャレンダー仕上げをしていませんのでこの議論にはなりませんでした。
小川:「ポエム」を実際使用する際の注意点などを聞かせてください。まずは、印刷時の注意点についてお教えください。
谷澤:オフセット印刷の場合、一般的な印刷用紙と比べて耐水・耐油性を持ち合わせているので「湿し水を絞る」「速乾性の高いインキを使用する」などにご留意いただければと。お勧めはUV印刷です。紙よりもむしろフィルムに近い特性とお考え下さい。
小川:オンデマンド印刷に対してはいかがですか。
谷澤:オンデマンド印刷機のプリンターヘッドの構造がメーカー様ごとに違いますので、事前テストをお勧めします。「ポエムカード」のタトウ見本235g/㎡のPOP見本は、実はオンデマンド印刷です。使用した機材はFUJIFILM REVORIAです。印刷にも立ち会いましたが、搬送性、印刷仕上がりとも問題なしでした。
小川:次に、加工についての注意点などございますか。
谷澤:ポエム(F)、ポエムカード(F)ともに用途を考慮してベース原紙に針葉樹パルプ(N材)を配合しています。そのため、一般的な上質紙や板紙と比較するとコシが強いです。特に抜き加工や断裁時には刃の摩耗頻度が高くなったり、貼り工程や製函工程で紙クセが出る可能性があるため、その点には注意が必要です。
小川:箔押し、ホットスタンプの適性についてはいかがでしょう。
谷澤:こちらの検証はしておりません。圧や温度、時間など条件によっても変わるので、事前のテストをお願いいたします。
小川:リサイクルについてはいかがでしょうか。
谷澤:一般の紙よりも耐水性を付与しているので水に溶けにくい、つまり溶解するのに時間がかかってしまいます。そのため一般的な印刷用紙への再生は難しいかと思います。段ボールの中芯原料や板紙の中層原料などへは問題なく使用できると思います。
小川:細かな点になりますが・・・耐水性についてもう少し深掘りしたいと思います。紙の断裁面からの染み込み、浸潤についてはいかがでしょう。
谷澤:まずはポエム(F)についてお話ししますと、こちらの銘柄については原紙に耐水性は付与していません。塗工で耐水性を与えています。ただ、染み込みやすいかというと、原紙と塗工液のバランスをとり、スーパーキャレンダーで仕上げているので製品は圧縮されて完成します。結果的に断面からの浸潤をそれなりに抑えることに成功しています。
新製品のポエムカードについてはそもそも断面が厚いことと、スーパーキャレンダーを通していないこともあり、紙の断面から浸潤しやすくなっています。それをクリアするため原紙に耐水性を付与しています。浸潤に対しては通常のポエムとポエムカードは別設計となっています。
小川:ありがとうございます。ところで、ポエムは主にどのような用途に採用されるものなのでしょうか。
谷澤:そうですね、用途は非常に多岐にわたります。冷蔵ラベル、冷蔵庫用の包装紙、ハザードマップ、駐禁タグ、スコアカード、トリアージタグ、冷凍食品のしおり、ネックホルダー・・・などです。
小川:ありがとうございます。水と油に関るもの、アイデア次第ではまだまだ用途がありそうですね。新発売「ポエムカード」についても。おすすめしたい用途などございますか。
長田:自立するPOPや屋外使用の案内表、メニュー表などです。フィルム加工やパウチされているものに「風合いがある」ポエムカードを試していただきたいですね。常備在庫を都内に持っているので「まずは少ない量で試しに使ってみる」ことが可能なんです。特に「ポエムカード」は表面のグロス感を押さえたダル調に近い設計なので、よりナチュラルさを求めるお客様にお勧めしたいですね。紙の色合いも意識して「カード」は青味ではないナチュラル系の白にしています。
小川:薄物と並べると色味の違いがよくわかりますね。話は変わりますが、近場に在庫があるという点は、実は大きなポイントなんですよね。
佐藤:ええ。リニューアル後は都内近郊の倉庫、東洋埠頭に在庫を入れています。1包単位からの対応が可能ですので、ぜひご検討いただきたいです。
小川:あと、マニアックな質問になりますが…ポエムカード。これ単紙…ですよね。
谷澤:ええ。単紙であるため、層間?離やブリスターを起こしません。そういう意味では紙とフィルムの「いいとこ取り」になっています。
話は尽きず、まだまだ続いていきます・・・
小川:本日はどうもありがとうございました。
谷澤:ありがとうございました。
長田:ありがとうございました。
佐藤:ありがとうございました。
実際の紙を手に取って頂ければ、と京橋紙業のショールームの「セレクト」棚に
ポエム(F)とポエムカード(F)の規格表とA4カットサンプルの一部を収録しました。
ショールームにお立ち寄りの際にはぜひ、お手に取ってみてください