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京橋・小川(以下、小川): このメンバーで集まるのは初めてですね。本日はよろしくお願いいたします。
平和紙業・西谷氏(以下敬称略): 本日はよろしくお願いします。
王子エフテックス・河村氏(以下敬称略): よろしくお願いいたします。
平和紙業・荻野氏(以下敬称略): よろしくお願いいたします。
小川: 河村様は「OKミューズガリバー」シリーズのお話を伺って以来のこのコーナーですね。平和紙業のお二人は初の「K’s TO FACE」登場です。それでのコーナーではお話を伺う前に撮影をするのが恒例になっていまして・・・お写真撮っても大丈夫ですか?
河村・西谷・荻野: 「どうぞどうぞ」「はい」「こんな角度でいいでしょうか」
小川: みなさん、助かります。それでは失礼して・・・(手早く撮影)
小川: さて、本日は『エコラシャ』についてお話を伺わせていただきます。この紙の品質面の特徴と、この紙が持つ「ストーリー」を聞かせていただければと。基本的なことですが、この紙の販売開始はいつでしょうか?
荻野: 販売開始は2003年です。当初はムーサという会社の専売品でスタートしました。
河村: 富士製紙発足と同時だったんですよね。6月か8月だったか…「スノーフィールド」と同時発売と覚えています。
西谷: ムーサはファンシーペーパーなどを取り扱っていた会社で2008年に平和紙業と合併しています。「エコラシャ」は古紙配合70%のプレーン品(小川注:エンボスがないフラットな表面の製品の意)、34色でスタートしました。
河村: 連量展開は100kgで翌年の2004年に70kgと130kgを追加。70kgは貼合の箱向けです。この70kgには他の連量にはない専用色が4色設定されていました。
小川: その後の主な改廃についてお教えください。
河村: 2008年1月の古紙配合率の乖離問題で古紙の配合率を10%に、2009年の9月に規格の見直しを行いました。
小川: 増色などですか?
河村: 70kgの廃止、130kg、180kgの追加と70kgの専用色の100kgへの追加などです。この見直しで100kgは38色になりました。
小川: 現在のラインナップに近くなってきましたね。
河村: はい。生産設備面では180kgを作るために、丸網抄紙機に変更しました。最初は長網抄紙機で生産していました。
小川: それは他の連量も含めて?
河村: ええ、全ての連量です。この結果、従来の製品と比較して「しなやかさ」を得られました。
小川: スタートは長網抄紙機だったんですね。
西谷: そして、2020年4月、FSC®森林認証紙へ移行し、2022年11月には古紙配合の公表を中止しました。
小川: 生産している工場は、どちらでしょうか?
河村: 王子エフテックス、東海工場の富士製造所です。
小川: 開発時のターゲットは・・・「あの」紙、でしょうか。
河村: ええ、「あの」紙と聞いています。それと、とても色数の多い「あの」銘柄もです。
(小川: 収録時には具体的な銘柄名が出ていましたが、2つの銘柄についてはご想像ください)
小川: ところで、銘柄名の「エコラシャ」はどこから来たのでしょうか?
河村: 古紙配合というところから「エコロジー」の「エコ」です。後に古紙配合を謳わなくなりましたが、その時には「エコノミー」の「エコ」という意味合いで。
小川: 「ラシャ」は・・・
河村: 「ラシャ」です。プレーンな紙なので。
小川: シンプルな由来で覚えやすいですね。そういえば気になっていたのですが、「エコラシャ」の色名は、全部ひらがなですよね・・・これは意図的ですか?
河村: ええ。「エコラシャ」の色名をカタカナ表記にしているサイトなどをたまに見かけますが、あれは正しくなくて、ひらがな表記が正式です。
西谷: 「べーじゅ」や「くりーむ」までひらがなというのは珍しいですよね。
小川: ひらがなだと優しい感じを受けますが、それだけではないですよね。その狙いは?
河村: 和テイスト、日本的な色表現をしたいという意味が込められています。この「エコラシャ」の開発コンセプトは「エコジャパンR」と密接な関わりがあるんです。
小川: よく同じ見本帳に入っている銘柄ですね。どのようなつながりがあるのですか?
河村: 「エコジャパンR」は初代「OKエコジャパン」の改良版です。その初代「OKエコジャパン」はどのような紙だったかというと、古紙パルプを配合したデザイン紙。1990年代に求められていた環境対応・・・当時は再生紙のニーズの高まりにこたえた銘柄でした。
西谷: 当時、見た目の良さも確保した「使える再生紙の色紙」がなかったんですよね。
河村: こうした背景で「OKエコジャパン」が商品化されました。そして、リニューアルされて「エコジャパンR」に。2000年に入ると「環境」というキーワードに加えて、エンボスがない質感と、価格をおさえた紙の要望があり、誕生したのが「エコラシャ」というわけです。「エコジャパンR」のコンセプトでもある日本的な色表現を引き継いで、色名がひらがな表記になっているというわけです。
小川: 「ジャパン」と銘柄名にも入っていますし、なるほどです。
河村: リニューアルで「OK」がなぜ取れてしまったのかは今回が「エコラシャ」のお話なので割愛しますね。
小川: それはまたの機会の楽しみにしておきます。ええと、 エコロジー・環境というと、どうしても紙の色合いがくすんでしまっているものが多い記憶があります。改めて見ると「エコジャパンR」は鮮やかというか「強い」色が多いですよね。
河村: はい。鮮やかな色を意識しての45色です・一方の「エコラシャ」はというと・・・
(エコラシャの見本の色を見る4人)
河村: これ実はですね、「エコラシャ」って元々「OKエコジャパン」の“エンボスなし”なんですよ、ベースは。
小川: ・・・そうだったんだ!
西谷: ・・・マジですか!
荻野: ・・・えええ!?
河村: 「OKエコジャパン」は1999年に販売を開始して、その後リニューアルして「エコジャパンR」になったことは先ほどお話ししました。でも古紙を配合するとやっぱり紙は柔らかくなり、紙コシがなかったんですね。さらに古紙を多く使用していたため「くすみ」があって嫌だっていう風に言われたことがありまして。古紙が多いことが印刷適性にも良くない影響を与えていたことなどもあり、リニューアルをとなったわけです。
小川: と、いうことは「OKエコジャパン」と「エコジャパンR」は色ラインナップが異なると。
河村: はい。くすみをとるために、彩度が高い方に振った形になっています。色数も30から45に増えています。でも、45色でやっぱり色が足りないとなりまして。
小川: 100色越えの銘柄がありますからね。
河村: そこに対抗しようと。あとラシャっぽい紙もないから。「エコジャパンR」の45色を補完する色を持つ銘柄として、柄なしの銘柄を作って、現行の色の間を埋めていこうと。
小川: それが「エコラシャ」だった。
西谷: そういうことだったのか。
河村: 「エコジャパンR」の色はデザイナーさんにお願いして、色相環からこの色とこの色・・・と選んでいただいていました。
小川: 王道ですよね、その色決めは。
河村: 「エコラシャ」に関しては、「エコジャパンR」の色を見つつ、その間の色と現場でのヒアリングなどからその当時「売れていた」色を選択したと聞いています。
小川: だから、ありそうでない色が。ということは、「エコジャパンR」の45色と「エコラシャ」の38色を足して、83色の展開・・・という考え方ですか?
河村: はい。おっしゃる通り同じような色でも微妙に違います。
小川: ・・・「エコラシャ」の色についてのお話でぜひ伺ってみたいことがあります。
村: はい。なんでしょう。
小川: 「くろ」についてです。
西谷: いい「くろ」ですよね。とても黒い。
河村: 他社の「漆黒」が出るまで、一番と言っていいほど黒かったですね。「エコラシャ」の色の中では価格を抑えたお買い得色になります。
小川: 今でも存在感のある「くろ」です。
西谷: 「なす」もはっきりとしたいい色ですよね。
(しばし、エコラシャの色チャートを見ながら歓談)
小川: そうそう、「エコラシャ」は森林認証に移行しているんですよね。
荻野: はい。まだいくつかのアイテムで旧品、非対応のものが残っていますが、もう少しで完全移行になります。
小川: ファンシーペーパーで色数があってかつ森林認証品というのはまだ珍しいですよね。
西谷: はい、つい先日発売の「タント-F」がありますが色数が5色です。
小川: 森林認証に切り替わっているかどうかは、念のため問い合わせと考えておけばよいでしょうか。
西谷: はい。
小川: ところで、「エコラシャ」の増色や追加規格などのご予定はありますか?
西谷: 今ある38色をまずきっちり販売していきたいと考えています。
小川: 逆に廃色・廃規格などは?
西谷: それも今のところ予定はありません。
小川: 印刷や加工についての注意点はありますか
河村: 通常のファンシーペーパーと同様で高速印刷や全面ベタ印刷は苦手としていますが、加工、箔押し、ホットスタンプなど特に問題はありません。
小川: ちょうど今、京橋紙業ショールームで「エコラシャ」の展示会を開催しています。そこでは本の装丁に使われている見本、書籍を展示していますが、ほかに何か面白い採用例はございますか?
河村 :一つ面白い採用事例がありまして。エコラシャの「なす」なんですよ。
小川: このはっきりとした色合いの「なす」。いい色ですよね。
河村: 最近東北で、神社のお札に採用された事例がありまして。なかなかこの色ないんですよ、この高貴な色というか。
小川: 他銘柄であまりない色ですものね。今後「エコラシャ」を使ってみてほしい案件などございますか。
西谷: ショールームで展開している展示で「エコラシャ」の色刷の見本があります。ホワイトを印刷してから刷るとどんな仕上がりになるのか。また、色紙にカラーを印刷するとどんな表現になるのか。展示の「エコラシャ」の見本を参考にしながら、実際のお仕事でも試してみてほしいと思いますね。きっと、面白い効果になると思いますので。
小川: 表現の幅が広がりそうですね。展示物には色刷の順番まで記載されていますし、参考になると思います。他にはございますか?
西谷: 本の装丁でカバーから表紙、見返し、扉・・・と「エコラシャ」づくしで揃えてみてほしいと思っています。現状では見返しのみといったワンポイントで使用することが多いと感じています。
小川: 実は、表紙、見返し、本扉と「エコラシャ」で揃えている書籍がありまし・・・展示していますから後ほどご覧ください。
西谷: 「エコラシャ」の中で色々と組み合わせていただく楽しさを探してほしいですね。
小川: 京橋紙業のショールームで開催している「エコラシャ展」は2026年6月12日までですが、終わってしまっていても展示していたカラー刷のサンプルは問い合わせていただければ入手可能です。
西谷: サンプルを見ながら新しい表現方法にチャレンジしてほしいですね。
小川: そろそろ、お時間となりました。今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。
河村: ありがとうございました。
西谷: ありがとうございました。
荻野: ありがとうございました。
今回のインタビューの中に出た「エコラシャ展」は京橋紙業の1階ショールームで2026年6月12日まで開催中。土日は休館で、開館は平日の9時から17時まで。入退場自由なので、ぜひご来場ください!