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社員ブログ: 嵩高とノスタルジー

「かさだか」

きっと、紙の業界に入らなかったらこの単語には未だ出会っていなかったんじゃないかと思います。
漢字で書くと「嵩高」。
ぱっ、とみると「たかたか」と見間違えそうです。

 

ほぼ同義で「低密度」という言葉もあるのですが、最近あまり見かけません。
4文字で表現できる方が覚えやすいという法則がここでも発揮されたのでしょうか。

 

具体例は置いておきますが、本のタイトル、曲名、ゲーム名なども4文字に略されると
だいたいヒットしている、もしくは認知されているものが多いような気がします。
紙関係だと...「クリキン」などがそれにあたるのかな。

 

そんな「嵩高」の中でも、こんなところまで、という銘柄があります。

 

まずは「フロッシュホワイト」。
これは日本製紙の白板紙、コートカード紙の嵩高品です。
既に使ってみた、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
国産品でこのジャンルの嵩高はこの銘柄以外ではお目にかかったことがありません。
あ、製品名についてくるアルファベットのSはシングル、片面塗工という意味で、
Wはダブル、両面塗工という意味だそうです。

 

そして、ここまでか、と思うのはなんと、チップボール。
「エスカボード」という銘柄ですが、なんとなんと、芯紙系でも、嵩高。
この銘柄はフィンランドのエスカ社が生産しているチップボールで
数あるラインナップの中からごく一部のアイテムが輸入されているそうです。
決まったお仕事向けがほとんどらしいので、実際に使えるかどうかはまた別問題です。

 
でも、チップボールの嵩高なんて、どんなものなんだろう。
見てみたい。
そう思うと即決。早速見本を入手することにしました。
そして、見本の手配を受けてもらった時のことです。

 
...「少し臭うかもしれませんよ?」...

 

え?
臭う??
製品で???

 

過去に臭いが問題になって改良した経緯があるとか。

 

い、いったいどんな臭い?

 

待つこと数日。
ドキドキとワクワクで届いた見本のカット版を封筒から取り出します。
見た目は日本のチップボールよりも少し茶色系の淡い色合い。
見た目からして違います。さすが舶来もの。
手に取った感じも、表面がざらついていて、重さも軽いと感じます。
そして...

 

...すっぱい。

 

微かですが、確かに臭います。
お酢のような、少し酸っぱいにおい。
このことを言われていたんだ、と納得です。
そんなにきつい臭いではなく、あれ、臭うかなというレベルです。

でも...
あれ、この臭いには心当たりがあるなぁ。

 

頭に浮かんだのは、記憶の遥か彼方。
ショウジョウバエの飼育の思い出。
出身高校の名物となっていた、遺伝の実験。

 

培地を寒天で作る際に腐敗防止(だったと思います)で加えたプロピオン酸。
あの「すっぱい」臭いに酷似していたのです。

 

たぶん、チップボールの腐敗防止か何かの薬剤の残り香だとは思うのですが、
微かな酸っぱい香りが忘れていた青春のほろ苦い記憶を呼び起こしてくれました。

 
家族に不評だったんです。
あの実験は。
だって冷蔵庫使わないとダメだったから...


いまでも後輩たちは同じ実験やっているのかな。

 


(R)

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