京橋紙業 生方(野田在住)(以下:生方): 出版というものに携わろうとした動機は?
せちひろし事務所 瀬知さん(以下:敬称略): 大学時代から興味はありましたが、学費を自分で稼ぐ苦学生だったため安定した企業に勤めようと思い商社に就職しました。しかしあっという間にドロップアウト。赤坂の有名ラウンジバーにてバーテンとして勤めていました。芸能人や大手企業の幹部の方々が主のお客様でカウンターでの会話もそれなりの物を求められました。良くしていただくお客様のひとりに大手銀行の赤坂支店長がいらっしゃいまして同じ出身大学ということもあり色々なことを教えて頂きました。この方との会話に付いていくべく人生において一番勉強しました。その会話の中で「瀬知君は出版社なんか向いてるんじゃないかな?」と言われたんです。大学時代の思いも再燃しその週末の朝日新聞の求人広告に7社出版社の求人が載っておりそのうちの6社に応募し5社に内定を頂くことができました。そのうちの1社が商業界でした。
生方: なるほど。 商業界に入社して苦労したことは?
瀬知: 苦労というか配属先がファッション販売(月刊雑誌)でした。ニットとカットソーの違いも解らないという状況の中で、ファッションビジネス用語辞典を購入し猛勉強しました。
生方: 一気にファッションモンスターですか?
瀬知: そんなわけない!辞典なんか丸覚え出来ません。で、どうしようと思い業界に友達を一杯作ろうと目標を作り、社内のだれよりも一番名刺を交換しましたね。相手はファッションが好きで学校も専門性の高いところ出身。こちらは駆け出しの雑誌記者です。いろいろ教えて下さいと正直にお話しました。笑ってあしらわれることもありましたが 面白いと可愛がって色々教えてくれる人たちができましたし、今でも御付き合いさせていただいてる方もおります。全部僕の財産です。
生方: で、今に至る訳ですね?
生方: そこは僕も多少は一緒に仕事させて頂きましたので知っております。
瀬知: ほかの人は知らないだろうに!
生方: 自己完結型でございます!
瀬知: 勝手なヤツめ!(笑)
生方: はい、次・・行きます。編集者から見た本文用紙の選び方ってありますか?
瀬知: 僕は"出版は業"だと思うんです。きっちりと生産計画立て"回収率は何パーセントで"みたいなものになじまない気がします。もちろん大事なことなのは解っているのだけどね。それだけではない様な気がします。なので、すごくゲンを担ぎます(笑)やっぱり、売れた本の用紙は非常に気になるしね。
生方: 無理やりですが弊社1階をショールームにする計画になっております。ミリオン含めて、お客様の本の展示を考えております。是非完成した暁にはお越しいただければ何かのヒントを持って帰って頂けるかと考えております。
瀬知: それは非常に面白そうだね。先ほど話したように、ゲンを担ぐ編集者は少なくないと思うよ。正直何が売れる本かなんてわからないですしね。
生方: 今後の展開などお聞かせ願いますか?
瀬知: 現在9社の出版社と御付き合いしています。昨年だけで、24点の書籍に携わらせて頂きました。てんてこ舞いの私を見て「瀬知さん、会社にして若い人雇ったら?」というアドバイスを頂いたこともあります。しかし、今は人を育てたり、会社を運営するエネルギーを自分自身に使いたいと思いひたすら走ってます。
生方: 今後も"出版ひとり"で頑張っていく瀬知さんに大いに注目していきたいです。
瀬知: 人を芸人みたいに呼ぶな!最後に新刊2点紹介させてよ!!お茶1杯でここまで話したんだからさぁ(笑)
生方: どうぞです(汗)
瀬知: まずは、祥伝社さんの新書で『神(サムシング・グレート)と見えない世界』
生方: 紙と神?
瀬知: ・・・・・
生方: もう1点は?
瀬知: ダイヤモンド社さんの『おわかれの作法』です。どちらも3.11以降、考えさせられるテーマだと思います。
生方: 有難う御座いました。次はお茶2杯でお願い致します。
瀬知: ・・・・・(怒)
生方: 京橋コラムは皆様の愛と善意と心意気で成り立っております。重ね重ね有難う御座いました。
瀬知: 有難う御座いました(笑)
プロフィール
大学卒業後某商社勤務を経て1990年、商業界に入社。編集人生のスタートを切る。商業界においてファッション業界専門誌の編集を約10年経験し、ビジネス社に入社。書籍編集部の編集長、ならびに取締役を9年間経験し2011年4月、独立。出版企画及び編集、文筆業並びに新人発掘、社員研修の為の講演、商品企画プランナーなどマルチな才能を生かし現在の活躍に至る。